前歯と前歯とを噛み合わせられず、不自然に空間ができてしまう開咬。開咬は、単に審美性が悪いだけではありません。発音に影響したり、顎関節症の原因になったり、さまざまな障害の元になります。不正咬合の治療のうち、開咬の治療は難しい部類に入ります。厄介なケースでは、外科手術や抜歯が必要になることもあります。もし手術や抜歯を避けたいなら、最新のインプラント矯正を検討されるとよいでしょう。
噛み合わせが悪い不正咬合には、いろいろな種類があります。そのうちで、奥歯は咬合できるのに前歯が咬合できない症状を呈しているものを、開咬またはオープンバイトといいます。
奥歯の挺出(歯肉から過度に歯が出てくること)、鼻炎による口呼吸、指をしゃぶる癖、舌を前に突き出す癖などが、開咬の原因になると考えられています。遺伝的な要素や病気のせいもありますが、悪い癖がある人は、開咬のリスクをさらに高めてしまうと言えるでしょう。
開咬は、上の前歯と下の前歯とのあいだに、本来あるべきでない不自然な空間ができています。これは審美的にみて、決して良いとは言えない状態です。空間から息が漏れて言葉が不明瞭になる、前歯で食べ物を噛めないなど、機能的な障害が生じることが多いのも、問題です。
開咬は顎関節症のリスクが高いことも、大きな問題です。開咬になると、前歯を使えないぶん奥歯でばかり食べ物を噛むようになってしまいます。すると顎の関節や顎の筋肉に、必要以上に大きな負担がかかってしまうため、顎関節症を発症しやすくなるのです。
さまざまな障害の元になる開咬は、早目に歯科治療で治しておくのが賢明といえます。
図1.インプラント矯正。ワイヤーはなく小さいインプラント体を埋入する。
開咬の症例の多くは、ワイヤーブラケット矯正で改善を期待することができます。しかし、顎の骨格の歪みが原因になっていた場合は、顎骨を外科手術する必要性がでてきます。また歯列のスペースを設けるために、抜歯が必要になることもあります。体に負担のかかる外科手術や抜歯は、患者さんにとってできるだけ避けたいものでしょう。
外科手術や抜歯を避けたい患者さんには、インプラント矯正が向いているかもしれません。極小のインプラント体を骨に固定して、ワイヤー矯正装置の支点にするのが、インプラント矯正です。
インプラント矯正には、普通のワイヤー矯正よりも歯に大きな圧力をかけられる、それにより歯をはやく動かすことができる、移動がはやいので治療期間を短縮できるといった利点があります。
従来のワイヤー矯正は、歯を動かせる方向に限りがあります。しかしインプラント矯正装置の構造ならば、従来では難しい下方向などにも歯を動かすことができます。インプラント矯正の技術が開発されたおかげで、外科手術や抜歯を行わなくとも、難症な開咬を改善できる可能性が高くなりました。
最新のインプラント矯正治療を行っている歯科医院は、残念ながらまだ少数です。開咬でインプラント矯正を受けてみたいという方は、事前に実施歯科医院をよくお調べください。
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